新型コロナウイルス感染症の影響で業績不振を経験するファッション業界が、「エコ」を新たな成長エンジンとして掲げている。エコ、動物倫理、道徳性などの価値消費を追求するMZ世代(ミレニアル+Z世代)を狙って付加価値を上げるという構想だ。

今年2月に社名を「ビワイアンドブラックヤク」に変更したブラックヤクは、環境にやさしい製品の生産に積極的なアウトドアメーカーとして挙げられる。今年初め、「ニューライフテックス」タスクフォース(TF)チームを立ち上げて、韓国内で捨てられるペットボトルの回収から再生繊維の抽出、最終製品の生産・販売に至るまで、「資源循環モデル」を構築するための戦略を練ってきた。他のメーカーが異物などの純度問題で、日本や台湾などの海外から輸入した再生繊維を使っているのと差別化した動きを見せたいという。このため今年5月、ブラックヤクは捨てられたペットボトルを活用した再生繊維の量産システムを保有している企業と手を組んだ。SMグループの化学繊維製造企業・ティーケーケミカルと業務協約を交わして、国内では初めて国内廃ペットボトルから再生繊維を作り出し始めた。半袖Tシャツ一枚を作るために、500ミリリットルのペットボトル15本をリサイクルする形である。

最初の成果は今年8月に出た。この再生繊維にブラックヤクならではの技術力を融合させて、環境に配慮しいTシャツを発売したのだ。来年までエコ製品をTシャツだけでなく、ズボン、フリース、アウターなどに拡大する計画だ。

ブラックヤクの立場から見れば、「エコ」はすぐに利益を上げる事業ではない。ブラックヤクは最近、外形と売上両方とも下落していた。市場シェアは3~5位にとどまっており、売上高は全盛期だった2013年に5805億ウォンでピークに達した後減少して、昨年は3348億ウォンだった。しかし、次世代消費の柱となっているMZ世代にとっては「持続可能性」が重要な価値だという確信を基に、エコに継続的に投資して国内アウトドア市場トップの座を取り戻したいという覚悟を固めている。

このような戦略は、ブラックヤクの筆頭株主であり代表取締役である姜太善(カン・テソン)会長の息子であるカン・ジュンソク企画本部長(常務)が主導している。氏は2015年、米ポートランドのアウトドアブランド「ナウ」の買収を主導した。持続可能なファッションを追求するナウのエコ精神が、ブラックヤクが目指す究極の価値と合致するという判断からだった。しかし、カン本部長のエコ戦略は、まだ試験台に上がっている。ナウは昨年上半期(1~6月)に、買収から4年ぶりに黒字転換に成功したが、毎年50億ウォン前後の赤字を出している。

ブラックヤクは今年、ナウをてこに、米市場攻略に拍車をかける計画だ。同時に、国内エコ製品市場の裾野を拡大するための努力も続けていく。今年春夏と秋冬のシーズンには、環境に配慮した製品の物量を前年同期比二倍以上(それぞれ113%と180%)増やした。2030世代が柱となっている登山コミュニティプラットフォーム「ブラックヤクアルパインクラブ(BAC)」を通じて、エコ製品を巡る認識も高めていく計画だ。ブラックヤクの関係者は、「持続可能な素材、生産、工程のための投資は今後も続くだろう」と明らかにした。