新型コロナウイルス肺炎の感染拡大で世界の関心を集めた中国・湖北省。1月23日に世界で最初にロックダウンを実施した省都・武漢市で4月8日、実に2ヶ月半ぶりに封鎖措置が解除されました。これに伴い、全省での封鎖措置もすべて解除され、省内は徐々に日常を取り戻しています。
 旅行に行けるのはまだ先になりそうですが、映画を通して湖北省の魅力を感じることならできます!この特別企画では、湖北省内各地でロケが行われた映画作品をご紹介します。

File 1 鵞鳥湖の夜(原題:南方車站的聚会)
~ロケ地:湖北省武漢市~

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公開日:2019年12月6日
監督:刁亦男(ディアオ・イーナン)
主演:胡歌(フー・ゴー)桂綸鎂(グイ・ルンメイ)廖凡(リャオ・ファン)万茜(ワン・チェン)
 
2019年5月開催のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された話題の中国映画。本作は、第64回ベルリン国際映画祭で金熊賞と銀熊賞の2冠に輝いた『薄氷の殺人(原題:白日焔火)』の刁亦男(ディアオ・イーナン)監督の最新作で、指名手配犯となった男の逃亡と贖罪の旅を描いています。中国第6世代監督の一人である刁亦男監督は、2003年に監督デビューし、2007年に2作目となる監督作品『夜行列車(Night Train)』で、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されるなど中国映画の超新星として脚光を浴び、それ以降は新作が出るたびに話題となる存在です。
 今作の主演はドラマ『琅琊榜~麒麟の才子 風雲起こす~』で大ブレイクした胡歌(フー・ゴー)で、彼の初主演映画ということでも注目を集めています。共演は、『薄氷の殺人』にも起用された桂綸鎂(グイ・ルンメイ)と廖凡(リャオ・ファン)。特に廖凡は『薄氷の殺人』により第64回ベルリン国際映画祭の男優賞に当たる銀熊賞を受賞したことで、今回の刁亦男監督との再タッグには大きな期待がかかりました。

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撮影現場

 実は、本作のキャストには湖北省の出身者が多かったそうです。長江流域の中心部に位置する湖北省は、ふ頭や港が多い都市として知られます。そういった「ふ頭文化」の影響で、「省民性」にはごうごうと流れる長江を思わせる「強烈さ」と「豪快さ」といった特徴があり、それはこの映画の人物設定にも当てはまります。

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映画のスチール

 湖北の中心都市・武漢市は、「とにかくアツい街」と呼ばれています。武漢の夏の猛暑日と言えば、中国人なら誰もが天気予報やニュースで知っています。また、名物料理の「熱乾麺」のネーミングからも、「アツさ」を垣間見ることができます。本作のロケ地の一つに、市内の有名観光地「東湖」があります。隣には珞珈山があり、山と湖が呼応した景観はまさに山紫水明といったところです。戦国時代の楚の詩人で政治家でもあった屈原はこの湖畔で詩を吟じ、楚荘王はここで太鼓を叩いて陣頭指揮を執るなど、古くから様々な物語の舞台となっています。(ミン・イヒョウ 謙)