映画のポスターに欠かせない「キャッチコピー」に注目したことはありますか?中国では近年になって、さまざまなキャッチコピーを見かけるようになりました。短い言葉に映画の魅力が凝縮されていて、中には「この映画を観たい!」と思わずにはいられなくなるような名文句もあります。中国語のキャッチコピーの意味を知ることは、映画への理解を深めるだけでなく、日本の皆さんにとって中国語学習の良き教材となることでしょう!

 今月の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は、近年中国で話題となった国産アニメ映画にフォーカスしたいと思います。

【娯楽中国語】映画のキャッチコピーに学ぶ⑪ 国産アニメ映画特集

 キャッチコピー①:这是一个需要英雄的时代(zhè shì yī gè xū yào yīng xióng de shí dài)

 日本語訳:これは、ヒーローを必要とする時代だ

 2015年から「毎年1本ずつ」のペースで夏休みを賑わせてきた国産の大作アニメ映画。その第一陣が、2015年の『西遊記之大聖帰来』です。長い封印から解放された孫悟空が、孤児の少年を守るため、長安を舞台に妖怪と熾烈な戦いを繰り広げる物語で、ハリウッド作品にも引けを取らない迫力満点のバトル・シーンが見どころです。2018年には『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』の邦題で日本上映も果たしました。中国でのキャッチコピーに使われた「英雄(ヒーロー)」という言葉は、日本語版のタイトルに通じているようです。ちなみに、日本公開時のキャッチコピーは「守りたいものがあれば、強くなれる。」です。

【娯楽中国語】映画のキャッチコピーに学ぶ⑪ 国産アニメ映画特集

【娯楽中国語】映画のキャッチコピーに学ぶ⑪ 国産アニメ映画特集

 キャッチコピー②:感谢给我逆境的众生(gǎn xiè gěi wǒ nì jìng de zhòng shēng)

 日本語訳:ありがとう!逆風を吹かせてくれたお前ら

 2017年の夏に、暴力やスプラッターといったR指定級の映像が含まれるなど大人向けの1本として公開前から注目を集めた『大護法』。中国古代の奕衛国に仕える「大護法」(国を守るヒーロー)が行方不明の太子を探すため、ピーナッツの形の生物「ピーナッツ人」が暮らす不思議な村に迷い込み、冒険を繰り広げていくストーリーです。このキャッチコピーは主人公「大護法」の敵へ向けた宣戦布告であり、彼のタフさをうまく表現しています。「众生」は仏教用語の「衆生」のことで、中国では「芸芸众生(yún yún zhòng shēng)」(生きとし生ける者)という四字熟語で使われることが多いです。

【娯楽中国語】映画のキャッチコピーに学ぶ⑪ 国産アニメ映画特集

 キャッチコピー③:英雄崛起自少年(yīng xióng jué qǐ zì shào nián)

 日本語訳:ヒーローは少年時代に生まれる

 今年話題のアニメが、このファンタジーアクション『風語呪(The Wind Guardians)』、失明した少年・郎明が、人間界に現れる怪物「饕餮(とうてつ)」を、秘術「風語呪」を使って封じ込めてヒーローとなる姿を描いた作品です。このキャッチコピーは「英雄自古出少年」という熟語の変化型で、日本語のことわざ「栴檀は双葉より芳し」と同じ趣向をもつ表現です。